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避難所「先着順で満員、2回も振られる」台風10号、コロナ対策で収容人数の減少で

避難所「先着順で満員、2回も振られる」台風10号、コロナ対策で収容人数の減少で

避難所で不安な時を過ごす住民=宮崎市の市立小松台小で2020年9月6日、上入来尚撮影

 「特別警報級」に発達したまま接近する恐れがあった台風10号に備え、九州各地の避難所には6日から7日にかけて多くの住民が殺到した。新型コロナウイルス対策で個々の避難所の収容人数を減らしていた各自治体は事前に避難所の数を増やしていたが、それでも入りきれない避難者が続出。急きょ避難所を追加するなど対応に追われ、コロナ下での避難所運営の難しさが浮き彫りになった。 【台風10号】7日の様子  ◇九州各地 各自治体、事前に増やし急きょ追加したが…  「『先着順で満員です』と言われた。2回も振られるとは思わず、避難できるかどうか不安だった」。佐賀市の避難所「東与賀(ひがしよか)農村環境改善センター」で一夜を過ごした同市川副町(かわそえまち)の無職女性(65)は7日朝、疲れた表情で振り返った。市が東与賀町に開設した2カ所の避難所は6日午後6時ごろにはいっぱいに。女性は2カ所とも回った後で、市が当日の午後4時に避難所として追加したセンターにたどり着いた。  避難所での密集を防ぐため、各自治体は1人当たりの居住スペースを従来一般的だった2平方メートル程度から4平方メートル程度に広げており、その分、定員は単純計算で半減し、中には「3分の1から4分の1に減らした」(大分県佐伯市)という自治体も。各自治体は1カ所当たりの人数が減った分、避難所の数を増やしたが、大きな被害が予想されていた今回は、過去の大雨などの時には自宅にとどまった住民も大勢避難した。熊本県では全14市のうち11市で満員になった避難所があり、2カ月前の九州豪雨の被災地でもある八代市は61カ所中20カ所に上った。  もっとも、各自治体は行き場がない避難者が出ないように、定員を上回った場合は別の避難所を案内したり、避難所を急きょ増やしたりしており、大きな混乱はなかった。23カ所中9カ所で「これ以上受け入れ困難」となった熊本県荒尾市の担当者は「満員になる避難所が出てくると予想されたため、事前に他の避難所を案内する計画を立てていた」と説明する。  一方、鹿児島市は「命を守ることを最優先する」として、定員を超過しても空き部屋を使うなどして受け入れる方針で臨んだ。実際に喜入(きいれ)公民館には定員(69人)の倍以上の163人が避難。定員を上回る市民が避難してきた北九州市門司区の公民館では、区の職員がホームセンターで購入したゴミ袋とパイプ椅子で即席の間仕切りを作り、1人当たりのスペースを4平方メートルよりも狭くして受け入れた。  今回は感染への不安などから多くの人が自費でホテルを利用したが、国も4月、コロナ下での避難所の確保策として全国の自治体に対しホテルや旅館の活用を促した。しかし、今回の経験を経た後でも自治体側の反応は「事前準備が大変。現時点でホテルを活用する予定はない」(福岡市)などと冷ややかだ。  仮にホテルを活用するとなると、立地など避難に適する施設かどうかの事前の検討に加え、ホテル側との間で借り上げ期間や費用、避難者が新型コロナ感染症を発症した場合の対応などさまざまな調整が必要になる。体育館などでの雑魚寝よりもホテルを希望する避難者の方が圧倒的に多いことが想定され、ホテルに避難してもらう優先避難者のリスト作成も欠かせない。  宮崎市の担当者は「未開設の所も含めれば指定避難所自体にまだ余裕がある段階。指定避難所が難しければ親戚や知人宅、それでも足りない場合の最終手段がホテルであり、今後すぐにホテルを活用することは想定していない」と話した。【山本泰久、山口桂子、山口響、菅野蘭】