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「袋から顔だけ見える形でお別れ」 コロナの看取り、医療機関が模索 専門家「遺族支援、大きな課題」

「袋から顔だけ見える形でお別れ」 コロナの看取り、医療機関が模索 専門家「遺族支援、大きな課題」

ロボットとタブレット端末でコロナ患者と家族の「リモート面会」を提供する大阪市立総合医療センター(大阪市都島区)

 新型コロナウイルスの感染者の「看取(みと)り」はどうすればよいのか。京都府健康対策課は、病院ごとに設備が違うため明確な方針は決められないとしつつ、「できるだけ患者と家族の心情に寄り添った対応をお願いしている」とする。新型コロナの患者を受け入れる京都府内外の現場では感染対策をしながら患者と家族のケアの在り方を模索している。 【写真】コロナで亡くなったオムロン元社長、看取れなかった長男の無念とは  京都市立病院(中京区)は「感染状況が刻々と変化する中、できることを探ってきた」と説明。新型コロナで入院している患者との面会は禁止だが、亡くなった際には「家族らの希望があれば、ご遺体を収めた袋から顔だけ見える形でお別れを行った」と語る。ただ家族が濃厚接触者だった場合、病院での感染防止のため来院しての対面はできないという。  京都府立医科大付属病院(上京区)は新型コロナについて「患者さんだけでなく、家族も複雑な思いで苦しんでいると思う」と推測する。その上で「患者の症状が重い場合は、窓越しに患者さんと対面したりインターホンで話したりできる場を設け、距離感を縮められるようなケアをしている」と話す。  ロボットと通信機器を活用し、コロナ患者と家族の「リモート面会」を試みる医療機関もある。大阪市立総合医療センター(都島区)は、独自の遠隔コミュニケーションシステムを使い、8月から集中治療室(ICU)などに入院中のコロナ患者と家族が画面越しに対話できる特別ケアを始めた。  ロボットに載せたタブレット端末のカメラで患者の様子を映し、病院内で家族が別の端末から確認する。医療ソーシャルワーカーの大濵江美子さん(46)によると、重篤な患者が家族の声に反応し、まぶたを開くこともあったという。「離れ離れの家族をつなぐと同時に、看護師らが懸命にケアする姿を伝えることで家族に安心感を与える効果もある」と話す。 ■遺族のショックは大きい、孤立させぬ支援が必要 坂口幸弘教授・関西学院大(死生学)に聞く  新型コロナ感染症は、病気の進行が早く、患者と家族が唐突に別れを強いられるケースも多い。突然の予期せぬ死という意味では、自然災害や事件事故で家族を失うのと似たような状況といえるだろう。遺族が受ける精神的ショックは極めて大きく、その悲嘆も重篤化しやすいと考えられる。  感染防止のため、臨終の場に立ち会えなかったり、葬儀も通常通りに営むことができなかったりする。残された人たちが死を現実のものとして受け止め、生活や人生を立て直していく上で重要なプロセスが失われ、気持ちの折り合いをつけることが極めて困難となるだろう。  家族が入院したり亡くなったりした人を支えるためにどうすればいいか。

病室での対面がかなわない場合、自分たちの思いを最後に伝えることができれば、大きな意味を持つかも知れない。スマートフォンやタブレットを使って患者の顔を見ながら感謝の言葉を伝えたり、手紙を送って枕元に置いてもらったりすることが方策として考えられる。  最も気をつけるべきは、過酷な状況にある遺族を社会から孤立させないことだ。遺族が濃厚接触者に該当する場合、人同士の接触が厳しく制限される。感染者やその家族に対する偏見や差別も存在する。このため、精神的に最もつらいタイミングであるにもかかわらず、周囲に助けを求めたり、サポートを受けたりすることが難しくなる。「公認されない悲嘆」と呼ばれるもので、自死やエイズで家族を亡くすケースでも同様の問題が指摘されている。  コロナ禍における遺族支援は、社会にとって大きな課題といえる。遺族が置かれる状況や支援の方策、ニーズについて、多くの人に関心を持ってほしい。周囲の人が当事者との関係性を絶たないことがまずは大切だ。オンラインでの取り組みを含め、新たな遺族支援の在り方を模索していく必要があるだろう。  さかぐち・ゆきひろ 死別後の悲嘆とグリーフケアが専門。福島県立医科大の瀬藤乃理子准教授を中心とするグループ有志で5月、新型コロナウイルス感染症流行下の遺族支援に関して、「家族や遺族の助けになること」「遺族の方へのメッセージ」と題するリーフレットを作った。「災害で大切な人を亡くされた人を支援するためのウェブサイト」(http://jdgs.jp)からダウンロードできる。