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高まる女性層の反トランプ感情、保守の牙城が激戦州に

高まる女性層の反トランプ感情、保守の牙城が激戦州に

自宅前の道路沿いで、民主党のバイデン前副大統領を支持するプラカードを持ち、車に向けて手を振るリンダ・ロウルズさんと夫のトムさん=2020年9月30日午後5時44分、アリゾナ州ケアフリー、鵜飼啓撮影

 9月末のまだ日が高い夕方の帰宅時間帯、米南西部アリゾナ州ケアフリーに住む弁護士のリンダ・ロウルズさん(61)は自宅前の路肩にいすを出した。11月の大統領選に向け、民主党のバイデン前副大統領を応援するプラカードを夫とともに掲げるためだ。 【ポッドキャスト】投票の行方は?前回の大統領選で外れた世論調査、今回は信用できる?記者が対談形式で深掘りします。  「家の中でニュースを見て怒っていても、何も変わらない。バイデン氏の票を1票でも増やせれば、やる意味がある」  9月25日から11月3日の投票日まで、朝夕2時間ずつをこう過ごすと決めた。  州都フェニックスの郊外にある人口4千人弱のケアフリーは比較的裕福な地域で、人口の57%が65歳以上、96%が白人だ。2016年の大統領選では共和党のトランプ大統領の得票率が62・54%で、民主党のクリントン元国務長官に約30ポイント差をつけた。  13歳で政治に関わり始めたというロウルズさん自身、長年の共和党支持者だ。しかし、15年に保守派の会合でトランプ氏の話を聞き、「独裁者のようだ」と危惧を抱いた。トランプ氏は大統領に就任すると、抗議デモに車を突っ込ませて女性を死亡させた、白人至上主義グループをかばう姿勢を見せた。  「政策という次元ではなく、人間性の問題だ。トランプ氏のせいで、差別主義者がその考えを隠そうともしなくなった」とロウルズさんは憤る。4年前は第3党の候補に投票したが、今回は「穏健で考え方が近く、人格も優れている」バイデン氏を支持する。  アリゾナ州は1952年の大統領選以来、1回を除いて共和党候補が勝利している。だが、今回は異変の兆しが見える。5日に公表されたニューヨーク・タイムズなどの世論調査では、同州でバイデン氏の支持率が49%で、トランプ氏の41%に8ポイント差をつけた。  要因の一つが、女性票の動向だ。調査では男性の支持はバイデン氏44%、トランプ氏46%と拮抗(きっこう)していたが、女性の支持はバイデン氏55%、トランプ氏37%と大差がついた。全米でも同様の傾向が出ている。  ロウルズさんの自宅前の道路は、1時間に200台ほど車が通る。バイデン氏のプラカードを見て、運転席から親指をあげて賛意を示す人や、下に向けて反対する人など様々だ。あからさまに敵意を示す人の多くは、ピックアップトラックに乗った男性だという。  取材に訪れた日の朝、共和党支持者で、保守派の牙城(がじょう)ともいえる全米ライフル協会(NRA)の会員という女性が車から降り、長時間話し込んでいった。女性もトランプ氏への懸念を強め、バイデン氏の支持者を見て安堵(あんど)していたという。  ロウルズさんはこう語る。「ここに座っているのは、バイデン氏の支持者に『一人ではない』と伝えるのと、トランプ氏の支持者に『私たちは恐れていない』と伝えるためだ」(ケアフリー=鵜飼啓)